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 第812回 小中学校等における環境教育の推進

(2018年3月22日)

最近、習近平が金融・貧困・環境を三大リスクとして提示しましたが、このコラムでも昨年初頭に5回にわたり環境問題への取り組みを紹介しました。この環境問題という息の長い闘いが今、中国の教育の中にいかに反映され始めているかを見てみましょう。
以前、中国のある大学が人々のモラル調査をしたところ、一番しっかりしていたのが小学生で、年齢層が高くなるにつれ段々低下しているとの結果が出ました。大人がやたらにごみを捨てたり、交通信号を守らず、子供にたしなめられるとか、保護者を学校に呼んで子供たちがマナーを教える、といった話もありました。“环保教育要从娃娃抓起”「環境教育は赤ちゃんから」と、未来を背負う子供たちにしっかりとした環境意識を植え付けることに力が入れられ、様々な取り組みが行われているのです。
野生動物を片っ端から食べる習慣を是正しようとパネルを持って巡回授業をしたり、学校内に風力発電の模型を展示した生態環境保護教育館を作ったり、汚水処理場を見学させたり、環境保護の歌を作って歌わせたりと様々な教育が実施されていますが、最近の傾向は、話して聞かせることより実践する中で体得させようというやり方。
教室内で環境保護袋に、目的に合ったふさわしい絵を描かせるとか、環境保護の絵巻物を完成させるとかいった試みも行われていますが、これがさらに進化したのが環境保護に貢献する行動を進んで経験させること。その代表的な例がゴミの分別収集で、河北省のある小学校では、教室に回収可能物・回収不能物・生ゴミ・有害物のポリバケツを持ち込み、分類実習させ、又、広西チワン族自治区のある中学校では、ごみが正しく分類通り捨てられているかを生徒が当番制でチェックしています。
一方“变废为宝”「廃品を宝物に」が最近では流行語に。農村では麦わらなどの再利用が盛んになっていますが、学校でも廃品の再利用が幼稚園や小学校の教育に取り入れられ、工芸品の材料や、本のカバーといった実用品の制作にも使われています。また、中古品の再利用という側面から、古い本や教科書、いらなくなったおもちゃなどを循環利用するため、子供たちによる蚤の市も開催されています。また、学校から外へ出て、畑やハウスでじかに作物に触れることで、食物の大事さを体感してもらう活動も増えているようです。

三瀦先生のコラム