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 第821回 東北、再起へ向けて—その2—

(2018年5月31日)

 2017年3月の全人代、習近平は遼寧代表団との討議で東北経済の振興について語りました。東北、特に遼寧省は近年、経済構造的理由から、また、政治的側面も絡んで低迷が続き、「投資は山海関を越えず、東北の人材は外部へ流出」と言われていました。そこで習近平は「供給側の構造改革を進め、東北の重厚長大型の国有企業の改革を促進し、幹部の気風を一新すること」を提唱しました。
遼寧省がまず取り組んだのは投資環境の整備で、既に2016年末にビジネス環境改善条例を制定し、2017年をビジネス環境建設年に設定、行政の全面的な刷新に乗り出し、瀋陽では「11種類89の問題を集中的に取り締まった」とも報道されました。瀋陽は2016年8月に、東北地方唯一の国家全面革新改革実験区に指定され、100項目近い実験がスタート、行政改革・市場改革・法の整備・開放促進・インフラ拡充など7つの要素を中心にビジネス環境の整備に取り組みました。そういった中でもやはり国有企業改革は最大の課題で、負債を処理しつつ、株式の上場公開、中央国有企業との連携、民間企業との混合所有制など、対象企業を指定した改革にも着手しました。東北地方の国有企業と言えば、旧来の“三供一業”(水道・電気・暖房の供給と住宅管理)、や幼稚園などを今だに負担している企業も多く、早急な見直しが必要なことは論を俟ちません。その他、新しい産業を育成すべく、海外から人材を誘致して起業を促進する活動にも積極的に取り組んでいます。
しかし、中でも最大の課題はやはり経済構造を以下に転換するかでしょう。従来の重化学工業や設備産業中心からAIなどの先端産業へどうシフトしていくか、積極的にM&Aを行うなどして産業チェーンの広がりをどう図っていくか、それを行政がいかにサポートするか、といった点も問われます。
2017年第一四半期、前年には全国唯一のマイナス成長だった遼寧省のGDPが2年ぶりに前年同期比2.4%というプラス成長を記録しました。中でも新松ロボットは40.9%も成長し、新興産業の象徴となりました。直後の4月、遼寧自由貿易試験区に瀋陽・大連・営口の三大地区が看板を掲げ、それぞれの特色ある発展へとスタートを切りました。それから1年、前述の陳求発書記署名の記事は更なる発展への総合プランと言えましょう。

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