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第861回 中国小売り物流の発展と現状

(2019年3月21日)

一つの宅配をとどけるのに2014年は6日、2015年は4日かかりましたが、第13次5カ年計画初年の2016年には3.5日(1000キロ以内は84.62%が48時間以内)に短縮され、業務量も前年比51.7増と急成長、一日の取扱量は一億件に達しました。配達物処理の機械化も進み、手作業は70%ほど減少し、郷鎮の配達ネットカバー率は80%に達しました。国家郵政局の<宅配業発展“十三五”プラン>では2020年に業務量700憶件、郷鎮カバー率90%達成を目標にしています。
      その一方で、これまで宅配には配達物の損壊、遅延、受け取りの齟齬、賠償の不誠実など様々な苦情が寄せられました。政府はその是正に全力を挙げる一方で、EC関連商品が80%を占める宅配業は参入しやすく市場が大きいため、競争が激しく、コスト競争も熾烈を極め、一部の大手業者を除き、コールドチェーンやカスタマイズサービスまで手が回らない現状に鑑み、上記<十三五”プラン>では、2020年までに業務量年百億件、業務収入一千億元を超える大企業を3~4社育成する方針を打ち出すとともに、2017年4月には国務院が<冷凍冷蔵物流食品安全強化と消費拡大促進に関する意見>を出して、生鮮食料品の配送に万全を期すべく8つの措置を含めた対策に乗り出しました。
2018年5月1日、<宅配暫定条例>が施行され、関連企業がその物流ネットワークの拠点を設置しやすくし、県レベル以上の人民政府には、宅配業の発展を当該地域の経済・社会発展プランに組み入れ、大規模な集散・選別センターの建設を指示しました。
この面ではすでに民間で様々な動きがあります。大手物流企業の菜鳥は、無錫にある大型物流倉庫に初めてIoT総合ソリューションプランを導入、倉庫内部には一倉庫あたり五〇〇台以上の自動ガイド搬送車を投入しています。京東は2018年に北京市海淀区で世界初の物流ロボットによる完全配送を開始、様々なレベルの無人倉庫の設置により一日当たりの受注処理能力は前年同期比で15・15倍になりました。蘇寧も店舗周辺コミュニティ三キロメートル以内生活圏からのオンライン注文を一時間で届ける即時配送サービス用に、エレベーターに乗ることもできる無人配送車「臥竜一号」を配備しました。こういったEコマース各社の新しい物流技術の投入に、従来型の物流会社も新しい動きを見せています。

次回は3月22日の更新予定 テーマは<中国小売り物流の発展と現状>です。

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