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第862回 食の消費、最近の変化-その1-

(2019年3月28日)

近年、中国へ行く度に、街の変化のスピードの速さに驚かされますが、それが最も端的に表れているのが食でしょう。例えば上海の街を歩くと、以前に増してパン屋さんの多いのに驚かされます。そしてその内容がまた大きく変化しています。パンの陳列の仕方は最近の日本の駅中と同じしゃれたセッティング、そして何より、パンそのものの変化が目につきます。以前のパンといえば、やたらに大きくてぼそぼそとしていたり、とにかくオイリーで、うっかり包んでもらったままバックに入れようものなら、中で沁みとおってとんでもないことになりました。中秋節に食べる月餅はパンではないけれど、やはり同じ特徴がありました。そういった旧式のパンはほとんど影を潜めつつある、といってもよいでしょう。
      中国の食の変化といえば、最近、日本でも報じられているのが即席ラーメンの栄枯盛衰。勿論、コンビニを始め、多くの小売店に即席ラーメンがずらりと並んでいる光景に変わりはなく、それもかなり地方色豊かになり、種類が豊富になりました。また、日本同様、ラーメンだけでなく、春雨などのカップ麺も増え、ヤングソース焼きそばのような、汁なしの即席めんも登場しています。
即席ラーメンの普及が中国で進んだ理由の一つに、駅や列車内などにあるお湯の供給サービスがあります。中国人はもともといつもお茶を飲むケースを携帯し、中に茶葉を入れて時々お湯を足してはまた飲む、という習慣があります。そのため、昔は列車に乗れば必ず、ランニングシャツに短パンのおじさんが大きな夜間に湯を入れて客のカップに湯を注ぐ(その技術が見ものだったのですが)サービスがあり、ホテルや学校などでもお湯を入れたポットは常備されていました。こういった背景から、交通が発達しても、駅校内や車両内には必ずお湯が出る設備があるのが中国で、これがカップラーメン普及に欠かせないインフラに変身し、一時は、食事時になると列車内は即席ラーメンの匂いで溢れたものです。勿論、清潔で簡便、携帯に便利という本来の特徴も大事な要素ではありましたが。
しかし、この状況に今、大きな変化が生じています。デリバリーの誕生です。例えば、オフィスで残業したりするとき、以前は即席ラーメンが主役の一つでしたが、デリバリーの急速な発展がその風景を変えつつあります。その続きは次回に。

次回は4月4日の更新予定 テーマは<食の消費、最近の変化-その2->です。

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