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第921回 税制の諸改革

(2020年5月28日)

この1月30日、中国国家税務局は新型コロナ対策として2月分の申告期限を一週間延期する措置を打ち出し、更に3月10日には、新型コロナ関係の様々な税制上の優遇措置をまとめた<支持疫情防控和经济社会发展税费优惠政策指引>も発表されました。内容は5項目に分けられ、第一が予防と治療関係で、当該臨時活動に関する個人所得税の免除など、第二は物資供給関係で、関連物資の生産や輸送に関わる企業や納税者に対する増値税の免除や輸入関税の免除など、第三は寄付関連で、企業や個人の所得税免除や増値税・消費税等々の免除、第四は生産再開に関わるサポートで、被害が甚大な企業が2020年度の欠損金を最長8年間繰り延べすることをはじめとし、企業や個人事業主に対する養老・失業・労災・医療の保険料免除など多岐にわたる負担軽減策で、第五は対外貿易と内需拡大に関する免税措置が挙げられています。       
降って湧いた新型コロナに関する上述のような緊急対策とは別に、ここ数年、政府の税制改革には幾つか重要な事項が相次いでいます。2018年1月に<環境保護税法>が施行されたのを始め、2017年末から2018年初めにかけ、増値税・車両購置税・消費品輸入関税・水資源税・地方税などが続々と改定されましたし、2019年はアメリカとの貿易戦争に関わる経済対策という意味も含めて、企業に対する大幅な減税が実施され、2019年12月の第13期全国人民代表大会第15回会議での劉昆財務部長の<減税活動状況に関する国務院報告>では、同年10月までの統計数字を踏まえると、2019年全体で2兆元以上の減税額になることが示されました。これはGDP比で2%強に達します。2019年の減税の特徴は、小企業や零細企業に重点が置かれたことで、民営企業に対する減額分は全体の6割以上を占めています。   
税制改革のもう一つの注意点は個人所得税法です。特に、2018年に修正が施され、2019年1月1日から実施された新たな個人所得税法に日本企業は留意する必要があります。居住者かどうかの判断の期限となる例の183日ルールの日数のカウントの仕方で、滞在時間が24時間を超えない日はカウントしないことになりました。ですから、例えば3泊4日で中国出張をした場合、出発日と帰国日は算入されませんから、日数にカウントされるのは2日間だけです。他にも重要な改正ポイントがあるので、是非参照してください。   

次回は6月4日の更新予定 テーマは<知財権に関する動向>です。

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