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第931回 中国水問題の現状-その2-

(2020年8月6日)

河長制による協力の典型が長江と黄河という両大河流域のプロジェクトで、前者については既に2016年に<長江経済ベルト発展計画綱要>が、翌2017年に<長江経済ベルト生態環境保護計画>が出され、更に2018年4月の<長江経済体発展本格推進座談会>で習近平総書記がその一体化の重要性を指摘、水利部も<長江流域総合計画(2012-2030)>に沿ってより具体的な行動計画を打ち出しました。後者については、2019年に習近平が<黄河流域生態保護と高度発展座談会>で「黄河を人民に幸せをもたらす河にしよう」と呼びかけました。なお、2019年秋に開催された19期四中全会はこれら大河の生態保護とシステム管理について明確な方針を打ち出したことで注目されます。       
水不足対策の第一は、南水北調に代表される、豊富な地域から不足する地域への融通でしょう。2019年2月には南水北調中線の北方への給水量が累計で200億㎥に達したことが報じられましたが、その波及効果として、例えば北京の水ガメ、密雲ダムでは北京への給水量が10分の一近くまで減少、その分、他の水不足地域への給水を増やすことができましたし、地下水の水位や埋蔵量も着実に増加しています。こうした中、水利部は<省を跨る河川流域の新規水分配作業実施に関する通知>を出し、本流・支流も含めた30本の河川の調整に乗り出しました。一方、水不足を補うには水源の確保が欠かせません。そこで政府は水源地の環境整備を目標に掲げ、結果として、2018年末までに県レベル以上の都市で整備を完成、予定された任務の99.9%を達成しました。また、新たな水源として、人工降雨もさらに積極的に推進し、2012-17年の5年間で中央から11.66億元が、また、これに呼応して地方で76.44億元が投入され、その結果、2335億㎥が調達されました。最近では、新疆ウイグル自治区などでドローンによる降雨も実施されています。この他、海水の淡水化技術の研究も天津などを中心に精力的に進められていますし、水再生工場も北京では54カ所に達し、その利用量は10.7億㎥に達しています。   
水使用の節約も重要なテーマとなっています。2016~17年にかけ、政府は農業用水利建設に力を入れ、<農田水利条例>などを整備、2017年には農業用水総量の増加ゼロを達成しましたが、これと並行して節水型社会の建設も政策的に推進されています。   

次回は8月20日の更新予定 テーマは<「中国式民主」を探る>です。

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