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第939回 主要経済政策分析-その1-

(2020年10月8日)

「我が国は現在既に大中小それぞれ41、207、666の工業分野を有しており、ほぼすべての分野を網羅し、かつ、一定の技術水準を持った現代工業体系を形成している」とは最近よく目にする表現です。加えて2018年にはハイテク製造業の経済的付加価値が前年比で11.7%増え、製造業のデジタル化・AI化も急速に進んでいます。こうした経済発展につれ、2019年にはGDPが100兆元に迫り、平均一人当たりのGDPも1万ドルの大台を突破しました。2001年には1000ドルだったのですから、そのスピードには目を見張ります。       
一方、年初からのコロナショックは中国経済にも様々な影響を与え、国家統計局が7月16日に出した統計では、上半期のGDPは45兆6614億元と前年同期比で1.6%下降しましたが、第一四半期が6.8%減だったのに対し、第二四半期は3.2%増と、マイナスからプラスに転じました。注目すべきはハイテク製造技術とハイテクサービス業の投資額がそれぞれ5.8%、7.2%の伸びを示したことでしょう。第二四半期で見ると、例えば工業経済は4.5.6月にそれぞれ前年同期比3.9%、4.4%、4.8%と順調に回復しており、6月の自動車生産量と販売量もそれぞれ22.5%、11.6%の成長を示しました。このような傾向は3月以降PMIが4カ月連続50%を上回り、6月には50.9%に達したことからも見て取れます。急速な回復が顕著なのがハイテク製造業で、4.5月が14.4%下降したのに対し、6月は4.5%増と急速な反転を示しました。   
我々はついこういった眼前のドラスティックな動きに目を奪われがちですが、ここで、中国政府の中長期的な取り組みがどうなっているのかに改めて目を転じてみましょう。2018年末の中央経済工作会議は、中国経済の主要な矛盾は依然として供給側にあるとして行政側の構造改革を訴え、市場化・法治化という手段を多用して“巩固、增强、提升、畅通”という八字の方針を実行に移すことを求めました。こうした方針を受け、2019年前半には、様々な税の減免、課税最低限の引き上げ、さらに“三去一降一补”「去产能、去库存、去杠杆、降成本、补短板(過剰生産能力・不動産在庫・レバレッジの削減、コスト引き下げ、脆弱産業支援)」の成果を確実なものとすることを提起しました。その後、コロナと米中デカップリングの影響を承けつつこれがどう変化しているかは次回に。   

次回は10月15日の更新予定 テーマは<主要経済政策分析-その2->です。

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