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第940回 主要経済政策分析-その2-

(2020年10月23日)

コロナ騒動が起きる前、既に中国経済には大きな変化が見え始めていました。消費・投資・輸出を経済成長の最重点として捉え、その中で特に投資構造の転換に大きな関心が寄せられました。それを端的に示すのが投資主体の構成比で、2018年には、第一位:民間個人企業(34.6%)、第二位:株式企業(30.1%)、第三位:国有・公有企業(28.6%)、第4位:外資系(香港・マカオ・台湾を含む)企業(4.5%)と多元化傾向を示しています。その内容は、当然、ハイテク産業への投資が顕著で、2013年以降の年平均伸び率は16.9%に達しています。こうした企業の取り組みを後押しすべく、2019年は上半期だけで、1兆387億元の減税(増値税改革関連4369億元、零細企業関係1164億元、個人所得税関係3077億元)を行い、また金融支援面では融資残高が213兆2600億元と前年同期比で10.9%の伸びを示しました。こうした動きは言うまでもなく、短期的には米中摩擦とコロナによるダメージへの対応策であり、中期的には習近平政権の存続を図るための基盤づくりであり、長期的には世界の科学技術大国となってアメリカを凌ぐ経済大国としての覇権を確立するステップと言えましょう。       
中国のGDPが世界に占める割合は、改革開放初期の1.8%から現在の16%以上にまで増大しましたが、こういった発展の中で急速に進んだ工業化や都市化、さらには農業の近代化やIT分野の急成長のバランスをどう取るかは、発展をスムーズに進める上でも当面の最重要課題と言えます。例えば、労働生産性の向上やAIロボットの導入と雇用との関係をどう解決するかはその一つの問題でしょう。とはいえ、いずれにせよ、現時点での中国にとって産業基盤のハイレベル化、質の高い発展は当面の大目標であり、それ故、上述のような施策がハイピッチで進められているのです。   
これらの改革を進めるうえで、今中国政府が直面しているのが、経済発展における政府の役割と市場の役割のコラボレーションであり、李克強首相が就任以来唱えてきた取り組み、即ち市場化改革が漸く深化されつつあるとも言えましょう。こういった点を踏まえ、2019年10月、国務院は<优化营商环境条例>(ビジネス環境を向上させる条例)全7章を打ち出しましたが、そこでは第一章の総則に続き、第二章には市場主体の保護が、第三章には市場環境が、第四章には政務サービスが掲げられました。   

次回は10月23日の更新予定 テーマは<主要経済政策分析-その3->です。

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