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第941回 主要経済政策分析-その3-

(2020年10月23日)

2018年以降不安定な経済運営を余儀なくさせられた中国は、前述の2018年末の中央経済工作会議で、いわゆる“六稳(六つの安定)”(“稳就业,稳金融,稳外贸,稳外资,稳投资,稳预期”)を打ち出し、その成果として2019年10月、国家発展改革委員会は2019年第三四半期までの経済状況を分析し、「安定しつつ前進」と評し、その後これがしきりに喧伝されました。ここで注目すべきは、筆頭に“稳就业”が置かれたことで、雇用不安を取り除き、国民の心理を安定させるよう、企業、とりわけ、中小企業や零細企業に対する支援がより強化されました。11月22日にはさらなる市場活性化の策として<市場参入ネガティブリスト(2019年版)>が発表され、2018年に前年より177項目が減らされたのに続き、さらに、老人ホーム設立許可など20項目を削減した131項目(うち禁止項目は5項目、要参入許可が126項目)が示されました。       
上記の流れを汲み、同年12月の経済工作会議は、第13次5カ年計画の最終年である2010年を次期5カ年計画及び次なる百年の奮闘目標実現の基礎を築く決戦の年と位置付けました。   
年が明けた2020年1月6日、金融支援策として中国人民銀行は大手銀行の預金準備率を0.5ポイント引き下げましたが、そこに降って湧いたコロナショックにより、この程度の対策では到底対処できない事態となりました。そこで、一方ではコロナ対策に全力を挙げる一方、中国政府は早くも2月後半から“复工复产”(生産の回復)を始め、4月17日の中央政局会議ではいわゆる“六保(六つの維持)”(“保居民就业,保基本民主,保市场主体,保粮食能源安全,保产业链供应链稳定,保基层运转”)を打ち出し、5月末には重点プロジェクト再開率が各省で99.3%、水利関係で98%、交通関係で99.7%に達しました。国内経済を喚起するための大規模プロジェクトも積極的な推進も図られています。天山山脈を貫いて新疆ウイグル自治区の南北をつなぐ天山勝利トンネルはその一例です。   
金融面の支援も一層強化され、様々な減税や諸費用の引き下げによって企業のコストを軽減、人民銀行は1兆5000億元の再貸し出しや再割引を行うなど融資の強化も行い、また、多項目で利下げも実施されるなど、各種の市場主体を支援する一方、“新基建”「新インフラ建設」への歩みを速めており、それが世界に先立つ経済の急回復にもつながっています。   

次回は10月29日の更新予定 テーマは<消費>です。

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