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第992回 産学協同の進展-その1-

(2021年10月21日)

 中国における科学技術成果の移転に関する法律には、従来、<科学技術成果転化促進法>、<特許法>、<契約法>、<著作権法>、<反不当競争法>などがありましたが、いずれも目が粗く、不十分でした。2015年5月、中国は「2025年に中国を製造大国から製造強国にする」という「中国製造2025」というスローガンを掲げ、これに合わせて、2016年からの第13次5カ年計画では、先端科学技術の産業界への導入が最重要テーマになり、同年はそのスタートの年として様々な重要な動きがありました。まず3月には、国務院が<「中華人民共和国科学技術成果転化促進法」実施に関する若干の規定>を配布し、科学技術と経済を結び付けるルートのセッティングを強調し、研究開発機構・高等教育機関・企業や研究者がその成果を譲渡・許可・投資などの方式で企業などに移転させることを奨励しました。同年7月から、全人代常務委員会はこれらの実施を促進するため、各地域の同法実施状況を検査することとし、広東省をチェックした馬凱副首相は、「中国製造2025に向け、新たな情報技術と製造業の本格的融合を柱に、スマート製造を主要目標に、製造業のデジタル化・ネット化・スマート化を大いに推進し、中国製造業の新たな競争力を生み出さなければならない」と述べました。これらの取り組みにより、大学など研究機関は、その研究成果を産業化する中で、50%を下回らないインセンティブを得ることができ、また、研究者は企業と兼職でき、大学などを離れても、3年間はその籍を留保することができるようになりました。       
 同年10月、科学技術部は最初の成果移転モデル区として、河北省・京南モデル区と浙江省・寧波モデル区の設置を決めました。前者は京津冀地域全体への波及効果を、後者は民営企業活性化を狙ったものです。同年12月28日の人民日報は、中国産学研協力促進会の路甬祥会長署名の「産学研共同革新事業の新局面を切り拓こう」という長文の記事を掲載し、一年を締めくくりました。       
 翌2017年、国務院は<国家技術移転システム建設プラン>を打ち出し、①全体の発展を視野に入れ、科学技術の成果を現実の生産力に変えるよう促進する ②ウイークポイントを見据え、効率よく協力する技術移転システムを構築する ③制度的障害を排除し、技術移転のしやすい環境を育成する、という三つの戦略的重点を提示しました。

次回は10月28日更新予定 テーマは<産学協同の進展-その2->です。

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