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第998回 6中全会「歴史決議」を巡って-その2-

(2021年12月09日)

 本論たる第四章に入る前の第三章は、鄧小平による改革開放とその発展について述べていますが、その中では、鄧小平の業績について、「11期三中全会以後」という書き出しで270字ほど触れ、「『鄧小平理論』を打ち建て、実事求是、改革開放政策を推進し、社会主義初級段階路線を確立し、中國独自の社会主義を建設し、21世紀中葉までの“三歩走”社会主義現代化発展実現戦略を制定した」と記しました。次に、江沢民については「13期三中全会以後」という書き出しでやはり270字ほど触れ、「『三つの代表』という重要思想を形成し、社会主義市場経済の改革目標と基本的枠組みを確立し、公有制を主体とし、様々な所有制が共に発展するという基本的経済制度と、労働に応じた分配と様々な分配方式が共存した分配制度を打ち建て、中國独自の社会主義を21世紀へと推進した」と記しました。最後に、胡錦濤については「党の16全大会以後」という書き出しで210字ほど触れ、「全面的に小康社会を建設する過程で、実践・理論・制度を革新し、科学的発展観を形成し、“以人為本”を堅持する全面的な協調、持続可能型の発展を強調し、民生の改善と社会の公平を促進した」と叙述しました。このように、三人の指導者にはほぼ同程度のスペースを割き、その業績を讃えましたが、その重要ポイントは三者の政策の継承性、一貫性を強調するところにあり、習近平がその政策を如何に飛躍的に発展させたかを第4章で詳述することにより、習近平の正統な後継者としての位置づけを明確にする意図が含まれています。       
 全体の半分ほどを占める第4章は習近平政権後の取り組みの叙述に費やされています。これが今回の歴史決議の主要部分です。毛沢東、鄧小平と並んで習近平が歴史決議を出すことの意義は、鄧小平、江沢民、胡錦濤の政策をさらに発展させ、2021年の中国共産党結党百年に、かねて公約していた「全面的な小康社会を実現させた」ことを内外に高らかに宣言し、その功績を持って、自らを毛沢東、鄧小平に比すところにあります。第4章の各節をさらに大別すると、1.2節は共産党の統治と内部規律の強化を、3.4節は経済並びに改革開放政策の進展を、5.6節は政治改革と法治化を、7.8.9節は文化・社会・生態建設を、10.11節は国防と治安を、12.13節は一国二制度と外交に費やされています。それが何を意味するのか、そこで述べられた習近平の功績とは何か、次回はその内容を分析します。

次回は12月16日更新予定 テーマは<6中全会「歴史決議」を巡って-その3->です。

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