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(2025年10月16日)
10月に入りまして中国では国慶節をむかえ、10月1日から8日まで国慶節の連休に入りました。今年も大型連休になることから中国国内外の旅行需要が大幅に拡大しているようです。中国鉄道だけでも2億2000万人に達する見通しという事で今年も中国国内大移動が行われるでしょう。 また、今年は中秋節が10月6日に当たる為に1日長い連休になっているという事です。この時期の楽しみは月餅です。皆さんの会社では従業員に月餅を配るという習慣がまだ残っているでしょうか。私のいた工場は安徽省合肥市という農業県の田舎であったことから当時は月餅を従業員に配るのがこの時期の習慣になっていました。ある時工会(組合)の主席(委員長)が私のところへきまして、今年従業員へ月餅を配るときにいつもより多く2個づつ配ってくれませんかと言うのです。理由を聞くと、この時期の月餅は時期もので普段とは違う高価なものが出回ります。そして中秋節にはどちらかの両親宅へ行くのも習慣ですので、そこへ1個はお土産に届けたいという希望だというのです。 どうせ配るのですから皆さんが喜ぶ方がいいわけですから、即決定しまして2個配ることにしたのです。このことは我々には予想もしない大きな効果を生むことになりました。中国では何事も「面子」が大切です。月餅をめぐっては従業員からの要望があってそれが工会(組合)にあがって工会(組合)の主席(委員長)が従業員を代表して会社に申し入れをしてきたという形です。そして工会主席(組合委員長)の要求を会社が受け入れたという事になりましたので、工会主席の「面子」が従業員の中で大いに高まったという事になったわけです。 日本ですとただみんなの希望を会社に伝えただけのことが、中国でのメンタリティは少し違います。このケースは会社が、工会(組合)の主席(委員長)の「面子」を立てたという事になり主席は会社の対応にとても感謝してくれました、勿論主席は従業員に対して会社が日ごろの貢献に対しての会社の謝意であることを伝えて会社の「面子」を立ててくれました。会社は月餅を配るときに従業員に対する日ごろの感謝の意を伝えるコメントを付けて従業員の面子を立てました。 ついては、会社、工会(組合)、従業員の3者が皆それぞれの「面子」が立ったという事になりましたが、中国では何か一つ実行する時でも工夫一つでみんなのモチベーションが上がるやり方があるものです。いうまでもなく、工会はその後も会社とは良い関係を保ち、相互に理解しながら今日に至っています。 以上
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