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Last Update:2025/12/11
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第89回 これから中国へ赴任される方へ(61)

(2025年12月11日)

   
 最近急激に日中の外交状況が不透明になってきました。特に今月の12月13日は抗日記念日の1つであります「南京事件」の日に当たります。今年は特に「中国人民抗日戦争及び世界反ファシズム戦争勝利180周年」の年としており、例年通り記念式典が予定されています。南京にあります南京大虐殺の記念館に置きましては、特に神経質になりやすい時期でありますのでこの周辺への立ち入りは避けた方が良いと思います。
 今年のように日中の環境が悪く中国政府が神経質になっているときには、偶発的に事件が起こることは過去にもありました。近年でこのような反日運動があったのは2005年と2012年です。2005年には数年前から中国国内で反日の機運が起きつつありましたが、歴史教科書問題や日本の国連安保理常任理事国入り反対署名運動を機に、インターネットや携帯メールにより中国全国各地にデモが発生しました。四川省成都では日系スーパーマーケットに対する暴動、略奪行為が発生し、北京、上海ではデモの一部が暴徒化し、特に上海日本領事館周辺には1万人以上が集まり、暴徒化した集団はレンガ、ペンキ、卵などを領事館に投げつけ領事館は被害を受けました。更に周辺の日本料理店10軒以上が破壊され、日本車も標的になり被害を受ける状況になりました。2012年には日本政府が尖閣諸島の国有化を閣議決定したことで中国の多くの都市で反日デモが発生しました。この時も日本関係のスーパーマーケット、コンビニが略奪を受け、日本車が襲撃される等の被害が出ましたが、一部でデモに参加を呼び掛けたり出資する動き等も確認され、組織的に誘導されたデモという特徴が見えました。このように、最近の反日運動はインターネットやSNSを使って急速に全国に拡散するという特徴を持っている為に注意が必要です。
このような中国のカントリーリスクと言える現象は、中国でビジネスを行っている日系企業にとりましては安全を第一に対応していかなくてはなりません。反日運動だけでなく、2003年に勃発したSARSの時も同じように日系企業に置きましては、駐在員家族の一時帰国を実施する企業が相次ぎました。また、中国国内の日本人学校の休校、日本人留学生の一時帰国等も多くみられる等対応策は中国全土の日本人に多くの影響を及ぼしました。今回の問題が早急に解決することを願うばかりですが、中国在住日本人また中国へ渡航予定の皆さんは、特に注意することが必要です。                                      以上                                  

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