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第1163回 自由貿易区の更なる発展―その2-
(2025年3月27日)
2019年12月から、国務院の<自由貿易試験区における“証照分離”改革全面実施テストに関する通知>に基づく活動が始まりました。“証照分離”とは、業務の許認可証明と営業許可証のことで、営業許可証が得られても許認可がなかなか取れないという従来のハードルを下げ、業種によっては許認可を得る前に営業を始めることができることもでき、市場の活性化や行政の透明性(“清単管理”)に寄与するものです。こうした改革を進めた結果、第13次5ヵ年計画が終了した2020年には、自由貿易試験区の数が21に達し、全国的に分布するようになりました。同年の中国国際サービス貿易交易会グローバルサービス貿易サミットで習近平は、北京に「国際サービス業拡大開放総合モデル区」と「技術革新、サービス業開放、デジタル経済を特報とする自由貿易試験区」を設けて、北京が中国のサービス業開放を主導する方針を明らかにし、さらに、2021年7月に開催された中央全面深化改革員会第20回会議では、国内外二つの市場と資源を十分活用し、各地が自由貿易試験区のハイレベルな発展をさらに強力に推進するようはっぱをかけ、人民日報はその日から関連キャンペーンを掲載し始めました。その結果、2021年全体では、21の自由貿易試験区と海南自由貿易港の輸出入総額はそれぞれ19%、29.5%の伸びを示しました。
しかし、経済の低迷、政府による情報統制の強化、国際環境の悪化が中国の貿易や中国への投資に大きな影を落とし、これを打破する先兵として、自由貿易試験区は更なる改革を求められました。2023年6月、国務院は<条件を備えた自由貿易試験区および自由貿易港において国際的な高い基準との接続を試行し、制度型開放を推進するための若干の措置》を公布し、まず、北京・天津・上海・福建・広東などで実施、貨物貿易・サービス貿易・ビジネス人員臨時入国・デジタル貿易・ビジネス環境・リスク防止の6方面にわたり具体的な措置を打ち出し、翌2024年上半期までには各自由貿易試験区で実施に移されました。その内、ビジネス人員臨時入国に関しては、テスト地域に企業を設立する外国人幹部の家族には2年間以内の滞在ビザを与え、外資企業の専門家の家族にも、その専門家同様の滞在期限を与えています。 2023年には、商務部なども<自由貿易試験区重点工作リスト(2023-2025)>を打ち出し、今後実施する予定の164項目を提示、各自由貿易試験区がそれぞれに与えられた使命に応じ差別化した取り組みを行いつつ、システムの統合性を高めるよう呼びかけています。