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第1166回 中国自動車業界の急速な発展―その3-
(2025年4月17日)
2024年11月に創業30周年を迎えた民営大手のBYDは、EVとPHVのみを販売、2023年第4四半期にテスラを抜くと、2023年全体で前年比62%増の302万台と、目標の300万台を突破、生産能力もテスラを凌駕しました。BYDは2024年もこの勢いを継続し、上半期では最高益をたたき出し、第三四半期では、ホンダや日産の上位のみならず、ついにアメリカビッグスリーの一角、フォードを抜いて世界販売台数6位に躍り出ましたが、その一方で、6月には自動運転領域に1000億元(約2兆1000億円)を投入する、と発表、低価格帯の競争にのみ拘泥せず、中・高価格帯市場への積極的な進出意欲を示しました。BYDの販売で注目すべきは、PHVの販売数が急伸し、EVのシェアに迫ってきたことです。その原因は、EVの航続距離や充電時間の長さを消費者が問題視し始めたことで、2024年下半期にはその傾向が顕著になり、各社とも戦略の見直しを迫られています。BYDは第三四半期にPHVを相次いで投入、9月には、月間新車販売台数が40万台を超え、2024年全体では、国有企業や合弁企業を抜いて中国自動車市場で販売台数トップに立ちました。BYDはこの地位を確保すべく、さらに低価格攻勢を強めており、市場の淘汰が一層進むであろうことは疑いありません。2024年3月下旬に初めてEV生産を開始した小米は、第三四半期には参入半年で世界のEV販売18位にランクされ(純利益53億元)、注目されました。小米はさらに9月には政府からEV生産に必要な資格を取得、自前の事業として育成する方向ですが、本業のスマホが伸び悩む中、その動向が注目されます。
民営大手の吉利は2023年に前年比20%増の270万台を売り上げ、又、同年春、「通信や自動運転機能に活用するために、2024年春までに20基の衛星を打ち上げた」と発表、さらに二年以内に72基、最終的には168基にまで拡張するとのこと。同グループは2024年も各ブランドで新エネ車を増やし、前年比22%増の333万台を売り上げました。しかし、その吉利でも百度と立ち上げた「極越」は2024年末には過当競争の波に吞み込まれそうになっていて、予断を許しません。このほか、新エネ車の振興御三家と呼ばれる小鵬、理想、上海蔚来も激しい争いを繰り広げています。
一方、国有大手では、上海汽車が2024年第4四半期、GMとの合弁不振で5000億円の減損を出し、長安汽車と東風汽車には、2025年2月に統合話も持ち上がっている有様です。