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第1170回 映画界最新ニュース

(2025年5月15日)

 中国映画の2024年の興行収入は425億元を超え、その内中国映画は334.39億元で78.68%を占め、1億元を超えた中国映画も35本に達しました。
 今年、2025年の春節(旧正月)には「哪吒之魔童闹海」、「唐探1900」、「熊出没重启未来」、「蛟龙行动」、「封神第二部:战火西岐」、「射雕英雄传:侠之大者」が一斉に上映され、延べ観客数は1.87億人と史上最高を記録、興行収入は7日間連続して10億元の大台を突破しました。上記の6作品は、神話もあれば武侠小説もあり、コメディもあればサスペンスもありで多様性に富み、多くの観客を惹きつけたのです。


 中でも「哪吒之魔童闹海」(通称:哪吒2)は2月に興行収入が合計百億元を突破、中国映画市場で、また、中国アニメとして史上最高を記録しました。この映画の制作には140近いアニメ会社、4000名以上のアニメーターが参画、まさに中国アニメ業界の総力を結集したと言えましょう。哪吒2は2019年夏に封切られて50億元を超える興行収入を獲得した、中国神話に題材を採った「哪吒之魔童降世」の続編で、配役数は哪吒1の3倍に達し、主人公が多くの困難を克服する過程に様々なエピソードが盛り込まれています。中国国内での上映に続き、2月にはオーストラリアやニュージーランド、アメリカなどの国々でも上映が始まり、日本では3月14日から限定上映され、その後、4月4日に、『ナタ 魔童の大暴れ』という邦題で字幕版が劇場公開されました。一方、「哪吒之魔童闹海」、「唐探1900」、「封神第二部:战火西岐」、「射雕英雄传:侠之大者」などはいずれも過去に話題となったネタをさらに深堀したもので、今後、新たなキャラクターやテーマを探り出せるか、が課題となります。  

 
こうした娯楽性の高い映画の一方で、中国の現状を描いた社会派の作品も注目されています。一人っ子政策がもたらした課題に切り込んだ「我的姐姐」「地久天長」、オンライン詐欺、人身売買などを扱った「孤注一掷」、医薬業界の内幕を暴いた「我不是药神」などは海外からも注目されています。また、校内暴力を描いた「黙殺」など、80后、90后と言った若い映画監督の台頭も目覚ましいものがあります。新中国の映画のゆりかごとも呼ばれ、2020年には国の工業遺産にもリストアップされた長春映画製作所の所在地長春で2024年9月に開催された第19回長春映画祭では、伝承・革新をテーマに、若い世代に焦点を当てたフォーラムも開催され、次世代へ向けた熱いメッセージが語られました。  

三瀦先生のコラム