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第1173回 中国国内航空の整備
(2025年6月5日)
国内路線向けの小型機ARJ21が中国航空・中国東方航空・中国南方航空三社に正式に投入されたのは2020年のこと。その後3年経った2023年11月には国内で延べ1000万人の乗客を運びました。こうした動きと相俟って、政府は国内航空網の整備を地域開発・観光促進に向けた重要なインフラと位置づけており、空港の新設や拡張を急ピッチで進めています。2018年12月には<新時代の民間航空強国建設に向けた行動綱要>を発表し、2035年までに国内の空港数を450カ所に増やす方針を示しました 。その後、2021年3月に発表された<第14次五カ年計画(2021-2025年)および2035年までの長期目標綱要>でも、2025年までに民間輸送用空港を30カ所以上新設することが掲げられました。それだけではありません。さらに2023年9月には中国民用航空局が<第14次五カ年計画民用航空発展計画>を発表し、2025年末までに民用輸送空港の数を約270カ所に増やすとしています。2024年時点で建設・拡充が進められている主な空港は、中国では初めて初の人工島に建設される海上空港で、完成すれば世界最大規模となり、年間旅客数8,000万人、貨物取扱量150万トンを見込む遼寧省大連金州湾国際空港、大規模な拡張工事を行った新疆ウイグル自治区ウルムチ天山国際空港、第3ターミナルビルと2本の新滑走路を建設中で、完成すれば世界最大の単一空港となる広州白雲国際空港、珠江デルタ地域の新たなハブ空港として年間旅客数3,000万人を見込む2025年着工の広東省佛山高明国際空港、2025年2月に第5ターミナルが運用開始され、顔認証システムや文化展示エリアを備えたスマート空港、陝西省西安咸陽国際空港など目白押しです。
主要空港以外の地方空港整備も進んでいます。中国は西部を中心に標高の高い地域が多く、それらの地域にとって航空路の整備はまさに地域発展の起爆剤としての役割が期待されます。第10次五カ年計画(2001-2005年)以降、営々としてつづけた努力によって、現在では、標高3000メートル以上の空港は24か所、うち4000メートル以上は5か所に及んでいます。最も高いのは四川省甘孜チベット族自治州稲城県桑堆郷にある稲城亜丁空港で、その標高は4411mにも達します。また、貨物輸送用飛行場の建設も盛んで、京津冀、長江デルタ、粤墺港大湾区、成渝の四代飛行場群がほぼ完成、さらにアジア最大の貨物専用飛行場鄂州飛行場が完成して、貨物飛行場の数は254カ所(専用399カ所)に及んでいます。