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第1194回 20期四中全会の評価-その1-

(2025年11月6日)

  周知のごとく、2025年10月20~23日に中国共産党第20期四中全会が開催され、2026年から始まる第15次5ヵ年計画の大綱が発表されました。従来は五中全会で発表されるのが通例でしたが、今回は、2023年に開催すべき三中全会が2024年夏にずれ込んだため、四中全会がその役割を担うようになりました。


  この間、経済は不動産バブル崩壊とコロナによるダメージに苦しみ、加えて第二期トランプ政権による関税戦争の応対にも追われ、一部先端産業の急速な発展と、二つの大循環の整備、BRICSをはじめとするグロ-バルサウスとの連携に一定の成果を見たものの、2024年以来の内需振興に向けた買い替え補助政策は、はや息切れの様相を呈し、各種経済統計は、見せ方に若干の工夫はしたものの、低迷あるいは下降気味で、デフレ傾向を脱却したとは到底言えない状態です。それは、庶民の所得や就業、あるいは小康社会を達成したという農村の成長速度にも影響し、地方政府の債務削減も含め未だ公共投資にも頼らざるを得ません。企業への資金提供を担う金融システムの強化が叫ばれていますが、リスクを伴う融資に対する貸し渋りも生じ、今後の持続可能性に黄色信号がともっています。


  こういった状況下で第15次5ヵ年計画の内容に内外から多くの関心が寄せられましたが、その内容は誰が見ても従来の政策の踏襲に過ぎず、2024年の三中全会の域を出ていません。好意的に見れば、こういう時だからこそ、新たな目玉政策を打ち出すより、安全を第一に地道な取り組みを、という姿勢がうかがえます。ただ、習近平の「党中央の核心・全党的核心」としての地位、党中央の「権中統一指導」の堅持を謳う[二つの擁護]、<2021年小康社会実現の公約>で示された、「市場経済派が唱える「市場優先」より「規制重視」中心」という新左派に依然足場を置いた、「市場経済が拡大すれば、貧富の格差を助長する」「国有企業が経済の核心、民間企業や外資系企業はその補完」という考えは堅持されており、その枠内での将来構想が達成可能か、が注目されています。次回は、主に経済面での内容に焦点を置き、従来の政策の延長とは言え、第14次5ヵ年計画目標の結果と比較しつつより具体的な分析を進めます。  

 
 

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