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第1199回 中国、進む行政改革-その1-

(2025年12月11日)

  2024年7月の三中全会で、大規模行政改革の方針が示されました。その原因の一つが、深刻化する地方債務の問題で、中央と地方の持つ権限を再配置し、監督権限を強化して中央が統一管理し、地方に下ろし過ぎた許認可権を整理しなおす一方、地方にも柔軟な運営を認める方針が示されました。また、政府の大部門の再編・整理即ち省庁再編の促進、データ管理の全国的統一、デジタル中央集権、末端行政に課せられている過度な転換・検査の軽減も示されました。2025年はこの方針を実行する段階に入り、許認可項目を全国的に一元化して、地方政府が勝手に許認可項目を設けることを阻止したり、行政サービスセンターにAI窓口を導入したり、地方政務の債務をきちんと台帳に記録した上でその責任を追及するなどの方策に着手し始めました。また、官僚の評価制度を刷新して、質の向上を図る試みも始まっています。


 以上のような全体的な流れに沿って、ここ5年間の主要な取り組みを具体的にフォローしてみましょう。2020年12月、当時の李克強首相は<政府督査工作条例>に署名しました。条例では“督査”の手順と方式について規定し、“访谈(インタビュー調査),暗访(覆面調査),听证(公聴会),评估(査定),约谈(呼び出し聴取),调阅复制材料(資料の閲覧・複写),互联网+督查” (オンライン監査)と言った形式が列挙されていますが、特に強調されたのが、回数や時間を厳しく抑制し、かってに範囲を広げないこと、相手の正常な活動を妨害しないこと、他部門が交錯して行わないこと、越権行為をしないことなどで、形式主義や官僚主義を厳に戒めました。この流れに沿って、翌2021年1月には十三期全人代第25回会議で、新訂<行政処罰法>が承認されました。これは、従来、“九龍治水”と称された状況に対処するもので、複数の部門が管理の一翼を担って重複し、何か問題が生じると責任のなすり合いをする状況を改善するのが目的で、都市管理、市場の監督、生態環境、文化市場、交通運輸、応急管理、農業といった分野では、行政による総合的な法執行制度を確立し、行政処罰権を相対的に集中させる条項が付け加えられました。同時に、民衆に切実な問題を身近な末端行政部門が責任をもって取り扱えるよう、処罰権を郷鎮政府や街道弁事処に下ろすこととし、処罰の種類も従来の7種に、生産経営活動や就業の制限といった処罰が加えられました。この続きは次回に。


   

 
 

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