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第1208回 古民家の保存と活用

(2026年2月26日)

   伝統文化の価値の見直し、保存、観光活用が盛んになっている中国。伝統的古民家の活用はその代表的アイテムと言えましょう。中国の伝統的な古民家と言えば、都市型の古民家を代表する北京の四合院、白壁と黒い瓦のコントラストで水墨画的美しさを湛える安徽省の民家、版築による円形の土壁に象徴される福建省の集合防衛型住宅、土楼と並んで、山西省の窑洞が挙げられます。窑洞は周知のごとく、黄土高原に堆積した緻密な黄土層を利用した住居で、地面を掘り下げた地坑式、崖に掘った横穴式、更には地上にレンガなどで構築した後、黄土で覆った独立式などのスタイルがあります。


  これらの住居はそれぞれに特徴がありますが、その住み心地はどうなのでしょうか。ある女性は「窑洞って黄土でできた布団みたい、冬は暖かいし、夏は涼しいわ」と言います。したがって電気代はほぼ不要、みんなオンドルの上で食事をしながら語り合うのです。土の香りがする暖かな住まいはまるで母親の胎内のようで、黄土高原で育った人にとって、窑洞はいつか帰りたくなる心の故郷になっています。こういった伝統的な民家を貴重な文化遺産として捉え、観光の目玉にした村興しが今各地で盛んになっています。窑洞は今、住みやすさ、懐かしさに加え、民宿として活用することで、そのおしゃれな内装、SNS映えする佇まいが高い人気を呼んでいるのです。従来何かと問題になっていたトイレ・採光・ネット環境などの問題が次々と解決され、快適性が飛躍的にアップしたからです。最近ではおしゃれなコーヒーショップなど観光目的の店もあちこちで見られるようになりました。


  同じ窑洞観光でも、山西省と陝北地区ではその性質が大きく異なります。山西省では民宿や田舎料理によるアグリツーリズムが主要な地位を占めていますが、陝西省は延安など革命根拠地があったことから、歴史教育をテーマにした愛国教育基地、修学旅行先といった要素が濃厚です。ただ、こういった観光化が過度に進み、破壊が生じれば、文化遺産の価値が低下するのは必定で、実際の生活の場でありつつ保護と観光を両立させる日本式の努力も必要不可欠です。「住居が窑洞では嫁がもらえない」といった若者のイメージを打ち壊し、窑洞文化を守りつつ、いかに近代的な窑洞ライフスタイルを生み出すか、将来へ向けた取り組みが待たれます。  

 
 

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