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第1217回 「科学自立」:科学素質教育の推進

(2026年5月7日)

   <全民科学素質行動計画綱要(2006-2010-2020)>が発表されたのは2006年のこと。その結果、科学的素養を身に着けた国民の割合は2006年の3.27%から、2015年には6.20%に上昇しました。ちょうどそのころ、インターネットが急速に普及し、「インターネット+」がスローガンにもなり、次代を担う青少年に対する科学教育の充実が国を挙げて始まりました。2016年、政府は<高等教育機関“一三五”科学・技術発展計画>を発表し、一流大学が牽引し、世界をリードする国家実験室・重大科学インフラ及び若干の高水準協同イノベーションプラットフォームの建設を提唱しました。また、2018年には<高等教育機関AI革新行動計画>を打ち出し、AIをコンピュータ・制御・数学・統計学・物理学・生物学・心理学・社会学・法学などを融合させた、「AI+X複合」を特色とする新たな工学部を2020年までに100専科設置するとともに、50のAI学部や大学院及び学際研究センターを設立する、としました。例えば、2018年、南京大学にAI学部が誕生、学生募集が始まりました。


  この方針は小中高校にも波及しています。先立つ2015年には<“一三五”期間に教育情報化工作を全面的・本格的に推進することに関する意見>(パブリック意見募集稿)が出されましたが、これに則り、2017春には、小中高校にAI課程が導入され、青少年科学教育強化の一環としてAIコンテストが重視されるようになりました。教材の整備も進み、2020年9月には精華大学出版社からAI教育の基礎モジュールで構成された『人工智能(高校生向け)』(主編:姚期智)なども出版されました。こうした方針を支える地道な取り組み、例えば科学普及キャラバン、流動科学技術館、農村中国科学技術館など政府による様々な活動も長年にわたり全国的に展開されてきました。


  2020年、科学普及従事者が181万人に達し、138億元が投入され、科学普及講座、科学技術活動ウイーク、科学普及展示会、科学普及ゲーム等にオンラインオフラインで延べ27.36億人(前年比138.21%増)、が参加しました。2021年以降、中国政府の青少年向け「科学素質教育(科学リテラシー教育)」は、単なる理科教育の強化ではなく、科学技術強国、イノベーション国家を建設する先兵の育成として国家戦略的化しています。一方で学習塾依存という旧弊を改めつつ、一方で科学教育の普及・発展・充実を図る大きなうねり、ここ数年の新たな動きについてはまた次回に。

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