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第1218回 「科学自立」:科学素質教育の推進-その2-
(2026年5月14日)
2021年が一つの転機になったのは、同年に出された長期国家計画<全国民科学素質行動計画綱領(2021—2035年)の制定で、「科学的素質」が中国の国家戦略として提起されたからです。2022年、教育部は日本の学習指導要領に当たる<義務教育プランと標準カリキュラム(2022年版)>を公布、それまでと各やり玉に挙がっていた学習塾などを規制するとともに、今までの詰め込み教育からイノベーション人材育成へ転換し、科学探究活動や実験を重視するようになりました。情報科学技術が独立した教科になり、 以前の「パソコン操作教育」から、アルゴリズム思考 、データ処理 、AI基礎、 プログラミング、 ネットワーク論理 、デジタル倫理などが組み入れられるようになりました。この方針はあっという間の全国に波及し、AI体験やボット実習、プログラミング競技など様々な取り組みが始まり、地方政府間の科学教育競争も熱を帯びました。上海では<中小学科学教育三年行动计划(2023-2025)>が打ち出され、科学副校長職の設置や、大学研究機関との連携も進められました。最近では、AI教育やSTEM教育(Science(科学)・Technology(技術)・Engineering(工学)・Mathematics(数学)の4分野をバラバラではなく、横断的・統合的に学ぶ)の急速な拡大が目立ちます。2025年、教育部は「小中人工智能基礎教育指南(2025年版)」、「小中生成式人工智能使用指南」を出し、早期の科学的人材育成へと明確に舵を切りました。学校外でも広大な科学普及網が構築され、科学技術館・科学普及基地などが全国的に設置されていることは前回で述べた通りで、上海だけでも科学普及基地の数は300カ所以上に達しています。
以上述べたような経過を経て、現在の中国では、小学生から大学生までの一貫した科学的人材育成システムが構築されつつあります。つまり、「幼少期の科学素養」→「中高での探究」→「大学での国家重点人材育成」というわけです。深圳の一部小学校では:LED制御、センサー 、マイコン 、ロボットカー などの授業があり、北京市・上海市では中高段階で生成AI 、画像認識、音声認識 、AI倫理を扱う学校が増えています。もう一つの特徴は教科横断型の重視で、例えば、新エネルギー車を題材に、物理、 化学 、環境、AIを統合的に学ぶ授業も見られるようになりました。中国の最近のカリキュラム改革は、受験のための理科から科学技術人材育成の育成へ、変革が急ピッチです。

