トップ > 現代中国放大鏡
Last Update:
第1225回 環境法典制定の持つ意味-その4-
(2026年7月2日)
2024年に入ると、具体的な施策が次々と実施されます。5月1日から国務院の<二酸化炭素排出権取引管理暫定条例>が施行されました。この暫定条例は、従来の行政命令や補助金による排出規制から排出権取引やグリーン金融など市場による誘導への転換を意味するもので、2021年に始まった全国炭素市場の、排出枠・登録・取引・清算・監督など全プロセスを法制化することで、行政法規に格上げしたのです。こうして、国務院の生態環境部が全国の炭素取引を統括することが明確になり、排出額割り当ての仕組みも法的裏付けが与えられ、MRV(排出量測定・報告・検証)制度も厳格化され、企業には精確な排出データの提出義務が課されました。特に注目されるのが罰則の強化で、高額の罰金や関係者の処分、違法所得の没収など従来よりはるかに厳しい内容となりました。同じ5月1日、工業・情報部が配布した<工業部門におけるカーボンピークアウトとカーボンニュートラル標準体系建設指南>は、中国の脱炭素政策が法体系の確立→市場の整備→技術の標準化→金融サポート→技術の向上という5段階で急速に整備される中での技術標準に関するもので、工場全体の排出量から製品に、更にサプライチェーン排出量に重点を移すと共に、ETS(排出権取引制度)の標準基盤整備も目論んでおり、また、EV・蓄電池・太陽光など新エネルギー分野での世界市場で、国内基準を国際基準にしようという意図も含んでいます。同年6月に生態環境部が15部門合同で公布した<カーボンフットプリント管理体制構築に関する実施プラン>は既述の2023年11月の<意見>を具体化した実施計画で、まさに国際競争力と標準化戦略に重点を置いた文書であり、中国企業が輸出で不利にならないよう、各製品ごとの二酸化炭素データを整備し、国際的な相互承認に道を拓こうとしており、手始めに一帯一路関係諸国との連携を目論んでいます。
一方、生態保護に関しても、同年6月から<生態保護補償条例>が国務院から出されました。6章33節に及ぶ同条例は、①財政による縦の補償、②地域間のおける横の補償、更に③市場による補償という三方面からの補償という建付けになっており、①では法規による保護資金の着実な投入や重点生体機能区や自然保護地に対する中央財政による補助、②では各行政区域同士の連携した補償、③では市場化された生態保護補償基金等多様な方式による補償が中心になっています。

