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(2017年1月25日)
中国で経済格差が拡大する傾向にある。格差を縮小し、和諧社会を形成するにはどうすれば良いのか。最も重要なことは教育の普及である。 2016年末までに、中国には私立学校が17万1,000校あり、この卒業生は2015年に比べて254万人増えている(China encourages private investment in education, China Daily,2017.1.19)。 最近、中国教育部(省)は、今後、財政、課税、土地に関する優遇政策を通じて、私立学校の発展をさらに支援すると発表した。 2016年11月に改正された民間教育法によると、営利目的の教育機関は、初等中等学校からなる9年間の義務教育に携わることはできなくなっている。民間の教育機関は、幼稚園、高等学校、または高等教育を担うことはできるが、義務教育が委ねられることはないということを意味する。この理由は明らかでないが、社会主義の価値観、政治制度、文化、学生に対する指導理論については、中国共産党が強く把握しておきたいということがあるようである。 それでも教育部の私立学校発展ガイドラインによると、政府の手当、調達サービス、学生ローン、慈善団体の奨学金などの資金も、民間教育機関に提供される予定である。李暁鎬・教育部副部長は、教育が法律や規制を遵守し、第三者の利益、公共の利益または国家に悪影響を及ぼさない限り、教育への非政府的投資は制約されるべきでないと言う。 格差社会の是正には教育の普及が必要である。中国で一部の富を独裁する者が増えている。中間所得層の拡大も行き詰まりそうな気配である。貧困層は、教育の機会均等が与えられていないので、弱者群体から抜け出す道がない。こうした趨勢を改めるには、私立学校の設立を広く認め、教育の機会を作ることが有効であろう。ただし、そうであれば民間教育機関にも義務教育を委ねることがあっても良いのではないか。 いかなる企業も企業文化の素養を高め、経済収益の合理的分配がなければ、企業の持続的発展はないと言われる。企業文化は、管理文化ではない。一部の企業家は、企業文化と言いながら自らの主観的な価値観を企業文化とし、自我文化を展開し、市場経済の客観的要求を無視しているという指摘もある。 中国の教育文化は、どうであるのか。主観的な価値観を押し付けるのではなく、弱者を支える教育を進めるのがいい。
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