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Last Update:2017/4/26
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コラム『チャイナウォール』−中国人の法意識−

 第330回 雄安新区は米国製品の輸入基地になるか

Will Xiongan New Area become import base for US products?

(2017年4月26日)

  中共中央と国務院は、2017年4月1日に河北雄安新区を設置する決定をしたと発布した。雄安新区とは、どのような目的で、どのような機能を持たせようとしているものなのか。中国政府の雄安新区に対する意図は達成されるであろうか。
  雄県は、北京の南約130キロメートルに位置する住宅及び工業区であり、これまでほとんど誰も知るところではなかった。住宅も公共住宅があるだけで、多くの湿地と空き地があるだけの寂れた地区である。わずかにロバ肉があることで知られているようである。
  雄安新区は、河北省の雄県、容県、安新県の3県及びその周辺の一部地区により形成される。北京及び天津からほぼ等距離のところにあり、北京、天津と雄安新区により正三角形が形成される。2016年の雄県のGDPは101.14億元、容県のGDPは59.4億元、安新県のGDPは40.01億元(1~11月)でしかない。
  雄安新区のマスタープランができているのか否かはわからないが、第1期で100平方キロメートルを開発し、中期に200平方キロメートル、最終的に2,000平方キロメートルの規模になるという。
  ここが一体どのような現代的都市に生まれ変わるのだろうか。これまでの河北省の産業は、鉄鋼、石油化学、建材という資源型産業が主体であり、エネルギー多消費型の汚染排出産業構造であった。中国政府は、これから北京の「非首都機能」を移転させ、北京の人口を有効的に吸収させ、雄安新区を生態環境保護、資源環境、文化保護の新区に生まれ変わらせ、さらには、AIなどハイテク産業の集積地にしたいとしている。
  2022年に北京で開催される冬季オリンピックも視野に入れての開発となる(経済参考報 2017年4月7日)。
  ところが雄安新区が設置されるという情報が伝わるや不動産価格が異常に高騰している。わずか数時間内に1棟のアパートが1平方メートル当たり8,750元であったのが1.2万元になった。また、香港証券取引所に上場しているセメント会社の北京金隅の株価が35%高騰した(New York Times 2017年4月5日)。すでにバブル経済の様相を呈している。これに対して、中国政府は慌てて不動産取引を停止させた。中国でバブルが崩壊すれば、世界経済に深刻な影響がもたらされることになるであろう。このような開発上の問題に対処しながら、適切なマスタープランの作成をし、開発工程をうまくハンドリングしなければならない。
  トランプ氏が米大統領に就任後、初の米中首脳会談が2017年4月6、7日にフロリダ州のトランプ氏の別荘「マール・ア・ラーゴ」で開催された。米中間の貿易不均衡解決のため「100日計画」を策定することが合意された。雄安新区を生態環境保護、ハイテク産業の集積地にするには、先進資本主義国の製品および技術が必要である。雄安新区は、米国製品・技術の輸入基地になるだろうか。
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