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Last Update:2018/12/26
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コラム『チャイナウォール』-中国人の法意識-

第370回 シェア自転車Ofoが財政危機に
〜 新ビジネスのチャンスとリスク

(2018年12月26日)

  中国のシェア自転車Ofoのデポジット返金問題が拡大している(新華社2018年12月21日)。中国交通運輸部(省)は、Ofoに対して、デポジットを返金し、市民の適法な権利を保障するように督促した。
  Ofoは、自転車シェアリングに際して、利用者がデポジットをはじめに払い込む制度になっており、この金額は一人99元である。このデポジットの返金を何百万人もの利用者がOfoに要求している。中国交通運輸部の予測では、現在までに全国のシェアリング自転車の利用者数は、延べ1,000万人以上にのぼるという。そこで、さらに多くのOfoの利用者が、デポジットの払戻しを請求することが予想される。
  このような督促が行われる背景には、Ofoが深刻な財政問題に直面していることがある。自転車メーカーなど取引先約10社が起こした未払い費用の請求訴訟をきっかけに同社の財政問題が深刻であることが明らかになた。裁判所が同社や創業者の戴威・最高経営責任者(CEO)に不動産や高額な動産を購入することを制限する命令を下したとの報道もある。
  Ofoは、日本の大津、和歌山、北九州の3市でシェア自転車事業を行なっていたが、10月末に突然に日本からの撤退を表明した。同様に米国など海外市場からも参入わずか数ヵ月で撤退をしている。経営悪化が原因であると予測されていた。中国政府によると、戴CEOとOfoの親会社は、さまざまな契約紛争に関連して合計780万ドルの債務を負っているという。
  Crunchbaseニュースが2018年第3四半期に報じたCrunchbase推定によると、世界のVCディールと投資額はそれぞれ空前の記録となった。Startup Revolutionと米国起業家精神センターがコラボで行なった最近の研究では、中国・北京が世界のVC投資成長に最も貢献していることがわかったという(https://jp.techcrunch.com/2018/10/15/2018-10-13-international-growth-primarily-in-china-fuels-the-vc-market-today/)。
  中国でITやAIを利用したハイテク企業が続々と設立され、新しいビジネスモデルを作り上げている。その勢いは目覚ましく、世界をリードするまでになっている。ただし、一面では投資家、ビジネス・パートナーやユーザー獲得合戦も激しいものがある。急激な事業拡大、多角経営に失敗する例も少なくないようである。ここに若干の懸念ないし限界があるという指摘もできるだろうか。

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