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Last Update:2019/2/27
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コラム『チャイナウォール』-中国人の法意識-

第374回 近く外商投資法制定の見込み

(2019年2月27日)

  2018年10月時点で中国に設立された外資企業は95万社となり、外資利用金額も累計2兆1000億ドルを上回った。合弁企業法や独資企業法など外資企業の形態別に外資系企業を規律する法律があり、早期にこれら法律を統合する「外商投資法」の制定が望まれていたが、いよいよ実現しそうである。
  2018年12月26日に全国人民代表大会は、「外商投資法(草案)に関する説明」を行い、併せて草案を公表し、2019年2月24日までにパブリックコメントを募集することを発表した。
  今回公表され、パブリックコメントが求められている「外商投資法(草案)」は、外国企業の投資自由化に向けて大幅な規制緩和措置が講じられている。外資企業の概念も企業の実質的支配者が外国企業である場合には外資企業となり、その範囲が拡大される点も望ましい改正である。三資企業法が廃止されることになり、内資企業と同様に「会社法」が適用されことになる。このことは、外資企業にとって法の適用がわかりやすくなることでもあり、この点も評価されるだろう。
  ただ、いくつかの不明点もある。例えば、(1)草案は、全39条と簡単なものである。したがって、あらゆる概念や関連政府機関などの服務体系が明確であるとは言えない。また、(2)用語の概念については、例えば、6条の「中国の国家の安全に危害を加え、社会公共の利益を損なう」という点は、OECD資本移動自由化規約においても認められることだが、それでも中国の概念が判然としないことがある。さらに、(3)服務体系については、例えば、33条の「外商投資安全審査制度」などが挙げられる。どのような審査制度になるのか。外国企業による買収、上場会社への投資についてもこれまで通りに審査・許可制が採用されることになるのか現時点では判然としない。
  以上については、いずれも今後、実施細則や各部門の関連法規、及び事務処理機関が設置されないことには実務上の問題は明らかにならない。今後具体化されることを期待する。政府の干渉を排除し、行政手続きを簡明化することが求められる。
  今、中国は、OECD資本移動自由化の理念に従って、投資を原則自由化している。自由化後のセーフガードについては、OECDも「国の利益に例外的に優雅ない影響を持つ場合」の例外を認めて、原則自動認可の下で個別審査による認可、条件認可または不認可を認めている。そこで、中国は、完全自由化(100%自由化)までの経過措置として、個別審査し、保護する必要のある自国産業については「ネガティブリスト」を発表するとしている。今後、自国産業を保護するための経過措置として、ネガティブリストに挙げられる産業保護のための特別法の制定も行われることになるだろう。中国進出外資企業は、こうした点にも注目しておくことが肝要である。

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