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Last Update:2019/2/27
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コラム『チャイナウォール』-中国人の法意識-

第375回 白髪混じりの習近平国家主席

(2019年3月13日)

  2019年3月5日から開催されている第13期全人代第2回会議に習近平国家主席が頭髪を真っ黒に染めずに白髪が目立つ姿で登壇したことが話題になっている。習国家主席が虚栄心を捨て、親しみやすい人物像を市民に抱かせようとしているとの評価が見られる。
  習国家主席が2013年に国家主席に就任した時には白髪はほとんどなかった。白髪が目立ってきたのは最近のようである。それだけ国家運営に国内外の問題が山積されているということになるのかも知れない。李克強首相は政府活動報告の中で、不安定な不確実性が高まり、かつ、国内経済への下方圧力が高まったと強調している。中国が、経済の先行きについて少なからず危機感を抱いているということの証左であるだろうか。
  習国家主席は、2018年の新年の辞において習近平国家主席は、改革開放40周年は農村改革から始まり、都市改革、企業改革、市場改革、政府改革、および社会改革、文化改革、生態文明改革、党改革を行い、成果を収めてきたと述べた。そして、2019年の新年の辞では、経済の高度発展を達成し、「一帯一路」の共同建設を積極的に推し進め、人類運命共同体の構築を推進してきたと成果を誇っている。
  しかし、現時点において中国国内では、(1)低所得層と富裕層の所得格差の拡大、(2)都市と農村の格差拡大、(3)生産者と消費者の間の矛盾拡大、(4)工業発展と環境保護の矛盾拡大などの面で衝突が見られる。また、2018年12月18日の改革開放40周年記念大会における習総書記の重要講話では、国際関係について、対外開放の推進により、WTOに加盟し、“一帯一路”をともに建設するまでになったと述べている。しかし、国際的には、中国が“一帯一路”構想の推進により新植民地化を進めているのではないかとの批判も強まってきている。さらに米中貿易摩擦が中国経済にもたらすマイナス面も相当に大きくなってきている(中国の国内外の問題について検討・分析した報告書に国際貿易投資研究所のITI調査研究シリーズ No.81『中国:新時代の新矛盾に対処する国内外における経済・社会統治のあり方に関する研究』(2019年2月)がある。http://www.iti.or.jp/report_81.pdf)。
  こうした問題が自らの権力基盤を確固としてはいるものの、習国家主席を悩ませ、白髪を多くさせているということがあるだろう。
  経済のグローバル化が極めて緊密になり、中国経済のウェイトが国際的にも非常に高まっているところ、中国経済の低迷や混乱は世界経済にとっても大きな問題となる。イデオロギーの問題を別として、中国内陸農村開発、貧困や環境問題への対策、“一帯一路”建設など日本が協力する余地はまだ多くある。

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